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多くの動物には性があり雌雄の区別があります。一般に、性は受精のときに決まり、その後は変わらないと思われています。しかしながら動物全体を見回すと、性は必ずしも固定されたものではないことが判ります。ヒトを含めた哺乳類でさえ性が変わることがあります。性は「揺らぐ」のです。性転換する場合もあります。

ところが、どのように性が決まっても、どのように性が揺らいでも、雌雄に分かれる、すなわち卵巣か精巣が形成されること(性分化)には変わりありません。それでは、その性分化に動物普遍的な機能が存在するのでしょうか?また「揺らぎ(性転換)」の機能はどうなっているのでしょうか?その揺らぎの機構がさまざまな動物での生殖の多様性をもたらすのではないかと考え、研究を行っています。

我々は、生殖細胞は単に配偶子になるだけでなく、性分化や性転換に重要な役割を果たしていることを見出しました。さらに、脊椎動物で始めて卵巣の生殖幹細胞を同定しました。現在、生殖幹細胞の性分化という新たな研究分野を開拓しつつ、性転換する突然変異体メダカや特定の細胞が蛍光で見える遺伝子改変メダカなどを用い、この性分化と性の揺らぎの分子機構と生殖幹細胞制御機構の解明に取り組んでいます。

主要論文と総説

Sumita et al., Zool.Sci, (2021) 38, 436-443.
Kikuchi et al., PNAS (2020) 117, 12174-12181.
Sakae et al Biol.Open (2020) 9, bio050054.
Nishimura et al., PLoS Genetics (2018) 14 (3), e1007259.
Nishimura et al., Science (2015) 349, 328-331.
Nakamura et al., Science (2010) 328, 1561-1563.
Kurokawa et al., PNAS (2007) 104, 16958-16963.
Curr Top Dev Biol (2019) 134,151-165 (review) 【PubMed
田中ら監修「性決定分化の制御システム」(2013)細胞工学2月号

News & Information

2024.1
助教 菊地真理子の 生殖細胞 極性形成の論文が Development に受理
2024.1
大学院生 亀山詩夕の terb1 変異体の論文が Zoological Science に受理
2023.12
研究生 Jose Carranza の cyp21a2 変異体の論文が Zoological Science に受理
2023.12
月刊「細胞」2024年1月号特集号に「ゆらぐ性の分子基盤」を執筆
2022.2.4
助教 菊地真理子が井上学術奨励賞を受賞
2020.9.4
「メダカを用いた生殖細胞と性決定の研究」で日本動物学会学会賞を受賞
2011.4.20.
「メダカを用いた新たな生殖細胞研究」が平成23年度文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)受賞。
2022.1.22
科学とジェンダー第四回シンポジウムで講演
ジェンダーのもとにあるもの - 人間も生物である
2021.11.14/21
フジテレビの科学番組「ガリレオX」で研究内容が紹介されました。
2021.3.12
名古屋大学オープンレクチャー「日本発!世界にはばたく研究用生物メダカの話」【YouTube
2019.2.25
科学一般書「遺伝子から解き明かす性の不思議な世界」一色出版(田中実編著)を出版しました。
2011.8.26.
NHK科学番組サイエンスゼロ「シリーズ細胞の世界 見たぞ!生と死その根源」で研究内容が紹介されました。
2011.8.26., 2011.10.30. 国内 NHK Eテレ/ 2013.5.28. NHKワールドにて放送(予定)。
外務省要請教育コンテンツとしてアフリカ・ラテンアメリカ放送局、教育機関に提供。